ワーキングホリデー(ワーホリ)で働くための条件と注意点【企業向け解説】

ワーキングホリデー(通称「ワーホリ」)を利用して日本で働く外国人が年々増加しています。
日本政府と協定を結ぶ30カ国・地域の18~30歳(一部35歳まで)が対象で、観光を主目的としながら最長1年間の滞在中に就労が可能です。
特にインバウンド需要の高い業界や繁忙期の人材確保に活用されていますが、雇用には特有の注意点も存在します。
ここでは、ワーキングホリデーで日本で働く外国人を雇用するメリットと、企業が知っておくべきポイントを解説します。
ワーキングホリデー(ワーホリ)制度とは
ワーキングホリデー(ワーホリ)は、日本と協定を結んでいる特定の国の人々が、観光・休暇をメインに一定期間滞在できる制度です。
現在30カ国・地域が対象となっています。
その数は年々増加し、最近では年間約1万5千人の外国人がワーキングホリデービザで日本を訪れています。
ワーキングホリデー(ワーホリ)の概要
- 18歳~30歳が主な対象(オーストラリア、カナダは35歳)
- 1年など一定期間、休暇を目的に日本に滞在できる
- 子どもや配偶者を同伴するのは禁止
- 滞在中の資金をまかなう目的で働くことも可能
- 以前にワーキング・ホリデー査証を発給されたことがない
ワーキングホリデー(ワーホリ)の対象国
地域 | 国名 |
---|---|
アジア | 韓国、台湾、香港 |
オセアニア | オーストラリア、ニュージーランド |
北米・南米 | カナダ、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ |
ヨーロッパ | フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、スペイン、アイスランド、チェコ、リトアニア、スウェーデン、エストニア、オランダ、フィンランド、ラトビア、ルクセンブルク |
ワーキングホリデー(ワーホリ)の在留資格は「特定活動」
「ワーキングホリデー」は制度の名前であり、在留資格の名称ではありません。
ワーキングホリデーの外国人は、「特定活動」という在留資格で滞在しています。
特定活動とは、ほかの在留資格に当てはまらない活動で滞在する外国人に対し、法務大臣が個々に活動を指定する在留資格です。
ワーキングホリデーのほか、卒業後に就職活動をする留学生、有償のインターンシップで滞在する外国人があてはまります。
通常、日本に中長期間滞在する外国人は、氏名や在留資格の種類、在留期間などが示された在留カードを持っています。
ワーキングホリデーの場合、在留カードの在留資格には「特定活動」、就労制限の有無の欄に「指定書により指定された就労活動のみ可」であるとしか書かれていません。
ワーキングホリデーの外国人を採用する場合は、在留カードとワーキングホリデーの旨が記載されたパスポートの両方を確認しましょう。
ワーキングホリデー(ワーホリ)で外国人を雇用する3つのメリット
1. 採用ハードルが低い
他の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)とは異なり、ワーキングホリデーは職種制限がなく、風俗業以外なら自由に雇用できます。
留学生のような週28時間の労働制限もないため、フレキシブルなシフト調整が可能です。
2. 多言語対応で訪日客の接客に強い
特に台湾や韓国など日本語能力の高い外国人は、観光地の飲食店やホテルで即戦力として活躍します。
英語や中国語での接客需要が高い業界では、ワーホリ人材の採用が人手不足解消の鍵となります。
3. 繁忙期の短期雇用に最適
スキー場やリゾート地など季節性の強い業界では、最大1年の滞在期間を活かし、繁忙期に合わせた短期雇用が可能です。
ワーキングホリデー(ワーホリ)雇用で注意すべき3つのポイント
1. 在留資格と滞在期限の確認
ワーホリの在留資格は「特定活動」です。
在留カードに「指定書により指定された就労活動のみ可」と記載されていることを確認し、パスポートの指定書でワーホリ滞在であることを確認しましょう。
滞在期間は最長1年です。
期限を超えると不法就労となるため、雇用前に必ず期限をチェックしてください。
2. 所得税率20.42%の一律課税
日本に1年未満滞在するワーホリ外国人は「非居住者」に分類され、給与所得に対し20.42%の所得税が源泉徴収されます。
累進課税ではないため、収入額にかかわらず税率は一律です。
3. 社会保険の取り扱い
外国人を雇用する場合の社会保険の手続きは、基本的に日本人と同じルールが適用されます。
国籍ではなく、働く時間や雇用形態で加入義務を判断します。
ただし、ワーキングホリデー中の外国人は「就労」ではなく「休暇」を目的としているため、一部通常ルールが当てはまらない手続きもあります。
ワーキングホリデー中の外国人を雇用したとき、どのような社会保険の手続きを行えばよいのか、説明します。
労災保険
雇用形態を問わず加入が義務付けられており、保険料は全額企業負担です。
厚生年金・健康保険
週20時間以上・2カ月超の雇用など条件を満たす場合は加入が必要ですが、
労働時間が短い、もしくは母国と日本の社会保障協定が適用される場合は免除される場合もあります。
社会保障協定
社会保障協定とは、外国人が母国と日本での保険料を二重で払うことを防ぐために二国間で結ばれた協定です。
協定を結んでいる国の外国人は、厚生年金、健康保険などの支払いが免除されることがあります。
協定を結んでいる国
ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国
雇用保険
ワーホリの目的は「休暇」のため、原則として対象外です。
正社員雇用への切り替えは可能?
ワーキングホリデーは滞在期間に制限があるため、多くの外国人はアルバイトなどの非正規雇用として働いています。
しかし、勤務態度が真面目であったり、日本で長く働きたいという希望を持っていたりする場合、企業側が正社員としての雇用を検討するケースもあります。
ワーキングホリデービザで滞在している外国人を正社員として長期雇用するためには、就労ビザへの変更が必要です。
その際、従事する業務内容に適した在留資格を申請・取得しなければなりません。
ワーキングホリデー中であれば、清掃や皿洗いといった単純労働に従事することも可能ですが、正社員雇用で一般的に取得される「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、このような単純労働は認められていません。
「技術・人文知識・国際業務」は、経理やエンジニアなど専門的な業務を行う外国人向けの在留資格であり、一定の専門知識やスキルが求められるためです。
そのため、正社員として雇用を考える場合、単純労働(例:清掃・皿洗い)の職種での就労ビザ取得は難しく、特定技能ビザの活用など、別の選択肢を検討する必要があります。
また、日本人と同等以上の報酬を支払うことが求められる点にも注意が必要です。
まとめ
ワーキングホリデーで日本で働く外国人は、多言語対応や柔軟な雇用形態で企業の課題解決に貢献します。
一方で、在留資格の確認や社会保険の取り扱いなど、法律順守が不可欠です。
人手不足に悩む観光地事業者や多言語需要の高い業界では、早めの採用検討がおすすめです。
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