外国人労働者採用の必須知識!日本語能力試験(JLPT)の効果的な活用法

外国人の日本語レベルをどのように確認すべきか?
外国人労働者を採用する際、日本語のレベルをどのようにチェックすればよいのか悩んでいませんか?
その指標の一つとして活用できるのが、日本語能力試験(JLPT)の認定結果です。JLPTは、日本語の読解や聴解能力を客観的に測る試験であり、採用時の判断材料として役立ちます。
しかし、合格レベルだけでは実際のコミュニケーション能力を正確に把握できないため、どのように活用すべきか理解することが重要です。
本記事では、JLPTの概要と外国人採用における具体的な活用方法について解説します。
JLPTとは?
日本語能力試験(JLPT)は、日本語の習熟度を測定・認定するための試験です。「言語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の3つの領域から構成され、日本語の理解力を評価します。
1984年に国際交流基金と日本国際教育支援協会によって開始され、現在では世界中で実施されており、日本語学習者にとって最も広く認知されている試験の一つです。

JLPTの各レベルと期待される能力
N1(最上級)
- 新聞記事や専門的な内容を理解できる
- 高度なビジネス日本語を運用可能
- 会議や交渉の場でも適応可能
N2(ビジネスレベル)
- 一般的なビジネスシーンでの円滑なコミュニケーションが可能
- 日常的な文章やニュースの内容を理解できる
N3(中級)
- 日常会話の大部分を理解できる
- 簡単なビジネス場面での対応が可能
N4(初級)
- 基本的な日常会話ができる
- 簡単な文章の読み書きができる
N5(入門レベル)
- 簡単な挨拶や自己紹介ができる
- 初歩的な単語やフレーズを理解できる
JLPTのレベルとCEFR比較
CEFRとは
JLPTのレベルを理解する際に参考になるのが、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)です。CEFRは、言語の習得度を国や言語を超えて統一的な基準で示す国際指標で、多くの言語に適用されています。
CEFRでは、言語運用能力をA1・A2(初級)、B1・B2(中級)、C1・C2(上級)の6段階に分類し、それぞれのレベルで「どのような場面で、何ができるか」を明確に示しています。
たとえば、B1レベルでは日常会話がある程度でき、C1レベルではビジネスや専門分野での議論も可能とされています。
CEFR:能力レベル別に「何ができるか」を示した熟達度一覧
段階 | CEFR | 能力レベル別に「何ができるか」を示した熟達度一覧 |
---|---|---|
熟達した言語使用者 | C2 | 聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。 |
C1 | いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。 | |
自立した言語使用者 | B2 | 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。 |
B1 | 仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。 | |
基礎段階の言語使用者 | A2 | ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。 |
A1 | 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。 |
JLPTとCEFR比較
日本語能力試験(JLPT)では、N1~N5のレベルをCEFRの基準に対応づけることができます。
一般的に、N1はCEFRのC1程度、N2はB2程度に相当するとされています。
ただし、試験の内容や評価基準が異なるため、JLPTの合格だけで実際の会話能力を完全に測れるわけではありません。
JLPTはN1からN5までの5段階に分かれており、欧州共通参照枠(CEFR)との相関は以下の通りです。
JLPT | CEFR | 到達レベルの目安 |
---|---|---|
N1 | C1 | 専門分野の議論が可能 |
N2 | B2 | 日常会話+業務対応が可能 |
N3 | B1 | 基本的な日常会話が可能 |
N4 | A2 | 定型文の理解が可能 |
N5 | A1 | 簡単な単語の認識が可能 |
また、CEFRレベルの参考表示は、2025年第1回(7月)試験から開始する予定です。
日本語能力試験の各レベルの総合得点(0点~180点)に対応するCEFRレベルの参考表示を成績書類に追加し記載します。
日本語能力とビザ取得の関係
外国人が日本で働くためにはビザ(在留資格)が必要ですが、一部のビザでは日本語能力が求められます(在留資格を所得するため最低限の要求)。
自動車分野の場合、イメージは下記のようです:
- 特定技能:N4~N3レベルの日本語力が必要
- 特定活動46号:N1が求められている(又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を保有)
特に特定技能ビザの場合、「日本語能力試験(JLPT)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)」のどちらかの合格が必要です。
JLPTを採用時に活用する際のポイント
1. 実際の会話力とは差がある可能性がある
JLPTは読解・聴解を評価する試験であり、スピーキング能力は測定されません。
そのため、試験合格者であっても会話力には個人差がある点に注意が必要です。
2. JLPTの証明書を確認する
採用時には、応募者が提示するJLPTの合格証明書をしっかりと確認しましょう。
3. 採用後の日本語研修が必要な場合が多い
JLPTに合格していても、業務に必要な日本語がすべて理解できるわけではありません。
特に実務に即した日本語トレーニングを行うことで、職場での円滑なコミュニケーションが期待できます。
JLPT以外の日本語能力評価試験
JLPTは年2回しか開催されないため、タイミングが合わない場合は他の試験を検討することも可能です。
JLPT以外にも、外国人の日本語能力を評価する試験をご紹介いたします。
業種や職種に応じて、適切な試験を活用することも検討できます。
1. J.TEST(実用日本語検定)
- 年6回実施
- A~Fレベルの6段階評価
- 「実用的」かつ「実践的」な日本語力を測定
- 聴解試験の比重が高く、「生きた表現」が数多く出題される
- 漢字の書き取りや短文作成など、記述式問題が含まれるのが特徴
- 日本語能力試験N1以上の日本語力まで測定可能
2. BJT(ビジネス日本語能力テスト)
- ビジネスシーンを想定した試験
- JLPTよりも実践的なビジネス日本語を重視
- 高度人材ポイント制において、BJTスコア480点以上で15ポイント(JLPTのN1と同等)、400点以上で10ポイント(JLPTのN2と同等)が付与される
3. JPT(日本語能力試験)
- 年12回実施
- スコア制の無段階評価(TOEICと類似)
- JLPTと類似した評価基準を採用
4. 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)
- JLPTよりも実務的な日本語能力を評価
- 特定技能の場合、JLPTとJFTのどちらかの試験に合格する必要がある
まとめ
外国人労働者の日本語能力を確認するために、JLPTは非常に有効な指標です。
しかし、JLPTの結果だけでは実際の会話力を完全に把握することはできません。
採用時には証明書を確認し、業務内容に応じた日本語研修を実施することで、スムーズに職場に適応できるよう支援しましょう。
また、JLPT以外にもさまざまな日本語能力試験があるため、職種や業務内容に応じて適切な試験を活用することが重要です。
これらを適切に組み合わせることで、より効果的な外国人採用が可能となります。
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