ベトナム人労働者のリアルとは?日本人と似て非なる価値観・働き方・人間関係の特徴を探る

近年、日本における外国人労働者の数は着実に増加しており、その中でも特に存在感を示しているのがベトナム人労働者です。

法務省の統計によると、2024年6月末時点で在日ベトナム人の数は約60万人に達しており、技能実習生や特定技能、留学生としての来日が目立ちます。

これは、ベトナムの若年人口の多さと、日本における深刻な人手不足が背景にあります。

本記事では、ベトナム人労働者の特徴や日本人との価値観・人間関係・働き方の違いを掘り下げ、企業が採用・育成・定着支援にあたって押さえておくべきポイントを紹介します。

ベトナムという国の背景

ベトナムは南シナ海に面し、南北に細長く伸びる国土を持つ東南アジアの国家です。

面積は約32.9万km²で、日本の九州を除いた大きさとほぼ同じです。

北部の首都ハノイは中国文化の影響が色濃く、南部の商業都市ホーチミンは陽気で活気に満ちた雰囲気が特徴です。

人口の約86%を占めるキン族が多数派で、公用語はベトナム語。

テト(旧正月)は最大の祝祭であり、旧暦で祝われるため、正月には1週間程度の長期休暇が一般的です。

在日ベトナム人の現状

法務省出入国在留管理庁の2024年6月末時点の統計によると、在留ベトナム人の数は600,348人で、前年より35,322人増加しました。

全在留外国人のうち18.1%を占め、国籍別では中国に次いで2位となっています。

在留外国人数(国籍・地域別)※令和6年6月末

在留外国人数(国籍・地域別)※令和6年6月末

在留資格の内訳では、永住者が25,919人、技能実習生が203,977人と、技能実習および特定技能制度を利用するケースが多く見られます。

技能実習生におけるベトナム人の割合は約50%にのぼり、特定技能でも同様に高い比率を占めています。

ベトナム人数(在留資格別) ※令和6年6月末

ベトナム人数(在留資格別) ※令和6年6月末

ベトナム人の性格と価値観

勤勉さと忍耐力

長い歴史の中で戦争や貧困といった苦難を乗り越えてきた背景から、ベトナム人は勤勉で忍耐強い性格とされています。

家族や地域社会のために努力する姿勢は、日本人と共通する部分もあります。

自己主張と協調性の共存

アジア的な集団主義を持ちつつも、ベトナム人は自分の意見をはっきり伝える傾向があります。

「和」を重んじる日本のように空気を読む力もありますが、それ以上に積極的な意思表示が重視される文化です。

特に若い世代は意見を主張することに躊躇がなく、フラットな人間関係を好みます。

また、家族や親族とのつながりを大切にする意識が強く、仕送り文化も根付いています。

「家族のために働く」という価値観が彼らの働く原動力となっています。

向上心と成功志向

急速に発展するベトナム経済の中で育った若者たちは、海外で働くことによるスキルアップや収入向上を重視します。

「よりよい職場へ」「将来的には母国で起業したい」といった目標を持つケースも多く、日本での経験をキャリア形成の一環としてとらえています。

このような意欲の高さは企業にとって魅力的ですが、長期的な雇用関係を築くためには、将来を見据えたキャリア設計や支援が求められます。

日本で働くベトナム人の実情

技能実習制度の現実

技能実習制度は「技能移転」を目的とする制度ですが、実際には日本側の人手不足を補うための制度として機能している側面があります。

多くのベトナム人技能実習生が製造業、建設業、農業などの分野で働き、誠実な姿勢が評価されています。

一方で、言語の壁や文化の違いから職場でのトラブルやストレスを抱えることも少なくありません。

失踪や早期帰国といった課題も指摘されています。

特定技能制度の活用と課題

2019年から始まった特定技能制度は、より高い日本語力と業務スキルを求める代わりに、待遇の改善や長期在留が可能となった制度です。技能実習から移行するベトナム人も多く、企業にとっては即戦力の人材を確保するチャンスとなります。

ただし、制度の理解不足や手続きの煩雑さから、導入が進まない企業もあるのが現状です。送り出し機関との連携や、受け入れ体制の整備がカギを握ります。

日本人とベトナム人の働き方の違い

コミュニケーションスタイルの違い

ベトナム人はフレンドリーで親しみやすく、職場でも気さくな雰囲気を好みます。

上下関係よりも対等な関係性を重視するため、日本の「礼儀を重んじる」文化とは衝突が起きやすい場面もあります。

また、日本の職場では「報連相(報告・連絡・相談)」が重視されますが、ベトナム人は結果重視で、プロセスを逐一説明する文化が薄いため、誤解を招くことがあります。

上司との関係性

日本では上司の指示に従うことが基本ですが、ベトナムでは上司であっても意見交換が当たり前の文化があります。

若い世代では特に、自分の意見を述べることが尊重されており、日本企業の「察する文化」や「沈黙の了解」に戸惑うことがあります。

採用・育成での成功ポイント

ルールと期待の明文化

「常識」や「暗黙の了解」に頼るのではなく、業務ルールや期待される行動を明確に言語化して伝えることが大切です。

具体的な説明を徹底することで、誤解や摩擦を未然に防ぐことができます。

キャリアと学習の支援

ベトナム人の向上心を支える仕組みとして、日本語学習支援、資格取得補助、キャリアパスの提示などが有効です。努力が報われると感じられる環境が、定着率とモチベーションの向上につながります。

信頼関係を築く職場作り

ベトナム人は人間関係を非常に重視します。同僚や上司との良好な関係は、業務への前向きな姿勢にもつながります。

定期的なコミュニケーション機会や、チームでの食事会、社内イベントなどが有効です。

社会全体としての課題と展望

差別と偏見の防止

ベトナム人の増加に伴い、偏見や差別に関する問題も顕在化しています。こうした問題は本人のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすだけでなく、企業のブランド価値にも関わります。

ダイバーシティ教育や無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)に対する社内研修が求められます。

生活支援の拡充

言語・医療・住宅・教育など、生活インフラ面での支援が十分でない場合、ベトナム人労働者の早期離職につながる可能性があります。

企業と行政の連携によって、日本語教室の運営、生活相談窓口の設置、医療通訳の導入など、支援の多角化が必要です。

まとめ

高齢化と人口減少が進む日本において、ベトナム人労働者は今後ますます不可欠な存在となるでしょう。

単なる「労働力」としてではなく、価値観や文化背景を尊重し合える関係性を築くことが、真の共生社会への第一歩です。

企業にとっても、ベトナム人材のポテンシャルを引き出し、多様性を活かした組織づくりを実現することは、競争力の向上につながります。

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