「報連相ができない」外国人材との協働における問題点と成功事例
「勝手に進めて失敗されちゃう」外国人材との協働における問題解決
この記事は、日本企業で外国人材と働く際に生じる「報告・連絡・相談(報連相)」に関する課題と解決策について解説しています。
特に、日本独自の意思決定プロセスと外国人材の文化的背景による考え方の違いに焦点を当てています。
事例紹介:ミンさんのケース

IT企業でソフトウェア開発のプロジェクトマネージャーを務める佐藤さん(仮名)は、ベトナム出身のミンさんとのチーム協働において問題を抱えていました。
4〜5人の開発チームで受託開発業務を担当しており、ミンさんはベトナム出身の開発経験5年の中堅社員で、日本語でのコミュニケーションが可能な来日2年目の社員です。
具体的な問題として、会議で合意した方針や役割分担を途中でミンさんが勝手に変更し、その変更が他のプログラムに影響を与えることがあります。
また、問題が発生しても締め切り直前まで報告がなく、「事前に相談して」と伝えても改善されない状況が続いていました。
類似事例:他の企業での外国人材との協働課題

インド人エンジニアのケース
大手ITサービス企業での基幹システム開発プロジェクトで、ラジェシュさん(インド出身)はシステムアーキテクト職として来日1年半で、高度な技術力と英語でのコミュニケーション能力を持っていました。
問題として、クライアントの要望に合わせてシステム設計を変更すべき場面で、独自の判断で「より良い」と考える設計を提案・実装し、チームリーダーや日本人メンバ
ーとの事前協議なしに技術選定を変更していました。
結果的に納期遅延やクライアントとの認識齟齬が発生しました。
この根本原因には、インドのIT企業では専門家としての自律性が高く評価される文化があり、技術的に優れた解決策を見つけることが最優先という価値観、そして顧客要望より技術的完成度を重視する傾向がありました。
ブラジル人マーケターのケース
日本の食品メーカーの海外マーケティング部門で、カルロスさん(ブラジル出身)は南米市場担当として採用され、来日3年目の創造力に富み積極的な性格でアイデア豊富な人材でした。
新製品のプロモーション戦略立案において、会議で決まった予算枠を大幅に超える企画を勝手に進め、部署内で承認されていない広告コンセプトを外部デザイン会社に発注するなど、「より大きなインパクトを出すため」という理由で独断で計画変更していました。
根本原因としては、ブラジルのビジネス文化では個人の創造性発揮や「やってから謝る」風土があり、結果を重視し手続きよりも成果を優先する考え方、そして階層組織よりもフラットな関係性での仕事スタイルに慣れているという背景がありました。
問題の根本原因:決定プロセスに対する文化的な考え方の違い

日本の「合意形成型」意思決定文化と外国人材の「職域明確型」意思決定文化の違いが摩擦を生んでいます。
日本企業の意思決定は強固な「合意形成型」プロセスを特徴としており、チームメンバー全員の同意(コンセンサス)を前提に決定を行い、「稟議」システムのように多数の関係者が決裁に関わります。
自分で勝手に決めずに上司や同僚との相談を重視する文化であり、責任が分散され個人に偏らない仕組みとなっています。
一方、アジアを含む多くの国では「役割-権限-責任」が一体となった文化が一般的です。
自分の権限の範囲内で責任を持って判断・決断し、他者からのアドバイスは求めても全員の合意を得る概念がありません。
自分の役割に責任を持つことが常識とされています。
このような文化的背景の違いから、外国人材は自分の担当部分は自分で決めて良いと考え、「報連相」の習慣がないまま仕事を進める傾向があります。
解決策:「報連相」を「権限と許可」に置き換える

具体的なアプローチ
権限の範囲を明確にすることが重要です。
どこまでは自分で決めて良いのか(権限)、どの範囲を超えたら許可が必要なのか(許可)を明確にします。
佐藤さんのケースへの適用としては、必ず実行しなければならない仕様を明確にし「変えてはいけない」前提を共有し、変更をする必要が出た場合は必ず許可を取るルールを設定します。
また、チーム全体の役割・権限・責任の見直しを行い、メンバー一人ひとりがどこまで自由に決定できるのか線引きを行い、それ以外は「みんなの同意を得る」日本式のチームワークであると理解してもらいます。
事例別の解決アプローチ
インド人エンジニアのケースでは、システム設計における「変更可能な部分」と「固定部分」を明文化し、技術選定変更時の承認プロセスをフローチャートで視覚化します。
定期的な技術検討会を設け改善案を公式に提案・議論できる場を設定し、「技術的優位性」と「顧客要望の充足」のバランスについて対話します。
ブラジル人マーケターのケースでは、予算枠内での自由裁量範囲と承認が必要な範囲を明確化し、アイデア提案のための「クリエイティブタイム」を週1回設定します。
コンセプト変更には必ず部門長の承認を得るチェックポイントを設置し、創造性を活かしながらも組織の意思決定プロセスを尊重する方法について対話します。
文化的差異を活かした職場づくりのポイント
相互理解の促進として、日本人社員向けに「多様な意思決定文化」について研修を行い、外国人材向けに「日本の報連相文化」のワークショップを実施します。
文化的背景による違いを「問題」ではなく「特性」として理解することが大切です。
ハイブリッドな意思決定システムの構築として、日本型の合意形成と外国型の自律性を組み合わせたプロセス設計を行い、「個人の判断で進めてよい範囲」を明文化したガイドラインを作成します。
タスク別に「要相談」と「自己判断可」のラベリングを行うことも効果的です。
コミュニケーション手段の多様化として、口頭だけでなく視覚的なツールを活用(チャット、タスク管理ツール等)し、「報連相」のタイミングをカレンダーに組み込み、定期的なチェックインミーティングを制度化します。
成功事例:文化的差異を強みに変えた企業

多国籍製造業A社では、部署間での情報共有の遅れと外国人技術者の自律的な判断による計画変更という課題に対し、「決定マトリクス」を導入しました(縦軸に決定権限レベル、横軸に必要な相談・報告先を明示)。
結果として、外国人社員の自律性を活かしつつ日本型の合意形成も維持できる仕組みが定着し、意思決定スピードが20%向上し異文化間の摩擦が減少しました。
ITサービスB社では、国際チームでの「勝手に進める」と「指示待ち」の両極端な問題に対し、「デシジョンポイント制度」を導入し(プロジェクト開始時に全員で決定
ポイントを明確化)、外国人社員は自己判断の範囲を理解し日本人社員は積極的な意見表明が増加しました。
その結果、プロジェクト完了率が向上しチーム満足度も増加しました。
日本型意思決定システムの特徴と外国人材の理解促進
日本の意思決定システムについて外国人材に理解してもらうためには、まず、日本の意思決定は「遅い」と評されるものの、それは全体の同意を求めるプロセスのためであると伝えることが重要です。
日本はヒエラルキー型組織でありながら、個人の権限が明確でない側面があるため、事前の同意形成が欠かせません。
しかし、一度決まると全体が足並みをそろえて進むという大きな利点があります。
「みんなで同意してから実行した方が成功率が高まり、個人だけの責任で責められることもない」という合理性を説明することが、深い理解に繋がります。
外国人材との協働で得られるメリット
異なる文化背景を持つ人材との協働は、日本の職場習慣を見直す良い機会となります。
責任を社内全体に分散させる日本の文化は「思いやり」の側面がある一方で、「誰も責任を取らない」状況を生み出す可能性もあります。
多様な文化背景を持つ人材が増えることで新しい発見や改善点が見えてくるとともに、意思決定の文化的多様性が組織の革新性と適応力を高める効果があります。
まとめ
日本企業における外国人材との協働は、文化的背景に基づく仕事の進め方の違いを理解することから始まります。
「報連相」の概念を「権限と許可」という形に置き換えて伝えることで、外国人材が日本の職場環境に適応しやすくなります。
事例に見られるように、問題は個人の資質ではなく文化的背景による仕事観の違いから生じています。
明確な権限範囲の設定と相互理解の促進により、外国人材の強みを活かしながら円滑な協働が可能になります。
多様な人材を活かす組織づくりは、グローバル競争においてイノベーションを生み出す重要な鍵となるでしょう。
異なる意思決定文化の良い部分を融合させることで、日本企業のさらなる発展が期待できます。
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