定住者とはどのような在留資格?永住者との違いを採用担当者向けに解説

企業の採用担当者様や経営層の皆様にとって、外国籍の方を採用する際に「在留資格」の理解は不可欠です。
中でも「定住者」と「永住者」は、就労制限の有無などが異なり、採用の可能性を広げる一方で注意すべき点も存在します。
この記事では、「定住者」の在留資格に焦点を当て、「永住者」との違いや採用におけるポイントを詳しく解説します。
定住者とは
「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮し、日本の在留を許可した外国人に与えられる在留資格です。
その性質上、取得に至る背景は多岐にわたりますが、主に日本との血縁や特定の関係性を基盤としています。
身分系の在留資格の一つであり、原則として活動内容に制限がありません。
定住者の種類:告示定住者と告示外定住者
定住者は、大きく分けて「告示定住者」と「告示外定住者」の2種類があります。
- 告示定住者:国が告示であらかじめ定めているタイプです。主に日系人が該当します。例えば、日本人の実孫である日系3世や、元日本人の実子である日系2世などが含まれます。彼らの配偶者や未婚の実子も要件を満たせば定住者となる場合があります。その他、第三国定住難民や、日本人・永住者・定住者の6歳未満の養子、中国残留邦人等とその家族も告示定住者に該当します。
- 告示外定住者:告示には明記されていませんが、人道的配慮など特別な事情により定住者として認められるケースです。難民認定者や、日本人・永住者との離婚・死別後に一定の要件を満たす場合、日本人の実子を養育する場合などがこれにあたります。告示外定住者は、原則としてすでに日本に在留している人が対象となり、海外からの呼び寄せはできません。
定住者の在留期間
定住者の在留期間は、6ヶ月、1年、3年、5年のいずれかが付与されます。
永住者とは異なり、在留期間の制限があるため、期限を迎える前に必ず更新手続きが必要です。
在留カードでの確認
外国籍の方を採用する際は、必ず在留カードを確認しましょう。
「定住者」の在留資格を持つ場合、在留カードの表面に「定住者」と記載されています。
定住者と永住者の違い
定住者と永住者は、どちらも身分系の在留資格であり、就労制限がほとんどないという共通点があります。
しかし、いくつかの重要な違いが存在します。
定住者 | 永住者 | |
---|---|---|
在留期間 | 6ヶ月、1年、3年、5年。更新が必要。 | 制限なし。更新は不要(在留カードの切替は必要)。 |
身分の安定性 | 比較的安定しているが、永続的ではない場合がある。身分や状況の変化により在留資格を失う可能性あり。 | 非常に安定しており、身分が変わっても基本的には日本に滞在し続けられる。 |
取得要件 | 政策的理由、人道上の配慮など多岐にわたる。 | 原則として引き続き10年以上日本に在留していることなど、法律で定められた要件を満たす必要がある。 |
申請 | 日本国内で申請。 | 日本国内で申請。 |
最も大きな違いは、在留期間の有無です。
永住者は在留期間に制限がないため更新手続きが不要ですが、定住者は付与された在留期間ごとに更新が必要です。
また、定住者はその身分に基づき在留が許可されているため、家族関係の変化などにより在留資格を失う可能性があります。
一方、永住者は一度取得すれば、原則として身分や状況が変わっても日本に滞在し続けることができます。
採用の観点からは、定住者を採用する際は、在留期間を確認し、更新が必要であることを理解しておくことが重要です。
また、永住者と比較すると、身分や状況の変化が在留資格に影響を与える可能性があるので注意が必要です。
定住者の就労制限と更新について
就労について
定住者は、就労に関する制限がほとんどありません。
これは、就労系の在留資格とは異なる大きな特徴です。学歴や職歴、専門知識の有無に関わらず、原則としてどのような職種や業種でも就労可能です。
正社員、契約社員、パート・アルバイトといった雇用形態の制限もありません。
企業にとっては、日本人と同様に幅広い業務で活躍してもらうことが期待できるため、採用の間口が広がります。
ただし、定住者として認められている根拠(身分や日本との関わり)から逸脱するような活動には注意が必要です。
例えば、日本に生活基盤を置かずに海外での勤務が中心になるような場合は、定住者の在留資格の要件を満たさなくなる可能性があります。
在留資格の更新
前述の通り、定住者には在留期間があるため、期間満了前に更新手続きが必要です。
更新の際には、定住者としての身分が継続しているか、安定した生活を送るための収入や資産があるか、納税義務を含め日本の法令を遵守しているかなどが審査されます。
これらの要件を満たさない場合、更新が不許可となる可能性もあります。
企業が定住者の外国籍の方を雇用する際は、この更新手続きの存在と、更新の要件を理解しておくことが大切です。
従業員がスムーズに更新できるよう、必要な書類の準備などで情報提供やサポートを行うことが、安心して長く働いてもらうためにも重要になります。
身元保証について
定住者の在留資格に関する手続きでは、身元保証人が必要となる場合があります。
この身元保証は、連帯保証人のような金銭的な債務を負うものではありません。
保証内容は、本人の日本での活動が安定的・継続的に行われることや、日本の法令を遵守することなどです。
企業の関係者に身元保証を依頼されるケースもあるかもしれませんが、保証内容を正しく理解し、対応を検討することが求められます。
身分や事情の変更に関する注意点
定住者の在留資格は、その根拠となる身分や事情に強く関連しています。
そのため、婚姻関係の変化(離婚、死別)や、生計を維持する能力、さらには素行(法令遵守)が、在留資格の維持に影響を与える可能性があります。
身分的要件の変更
例えば、配偶者との関係を理由に定住者の在留資格を取得した方が、離婚や死別によってその身分を失った場合、定住者の在留資格を維持できなくなる可能性があります。
この場合、他の定住者の類型に該当するか、あるいは就労系や他の在留資格への変更が可能かを検討する必要があります。
いずれの在留資格にも該当しない場合、日本に在留し続けることが困難になります。
独立生計要件
定住者の一部の類型には、日本で安定して生活できる収入や資産があること(独立生計要件)が求められます。
無職や休職中の場合、収入を得る能力や資産を証明する必要があり、これが困難な場合は在留資格に影響が出る可能性があります。
素行要件
日本の法令を遵守し、善良な生活を送っていることも定住者の要件の一つです(素行要件)。
犯罪行為などを行った場合、在留資格を取り消されることがあります。
これらの点は、企業が定住者の外国籍の方を雇用する上で把握しておくべき重要なリスクです。
従業員の身分や状況に変化があった場合は、在留資格への影響を確認し、必要に応じて専門家(行政書士や弁護士)に相談することを推奨します。
まとめ
「定住者」の在留資格を持つ外国籍の方は、就労制限がほとんどなく、幅広い業務での活躍が期待できます。
これは、多様な人材を求める企業にとって大きなメリットとなります。
しかし、永住者とは異なり在留期間に制限があり、更新が必要であること、またその身分や事情の変化が在留資格の維持に影響を与える可能性がある点には注意が必要です。
企業が定住者の外国籍の方を雇用する際は、在留カードで資格を確認し、在留期間や更新の必要性を理解しておくことが重要です。
また、雇用後も従業員の在留資格に関わる状況の変化に留意し、必要に応じてサポートや専門家への相談を行うことが、法令遵守の観点からも、また従業員との良好な関係を築く上でも大切です。
外国人採用に関する制度や手続きは複雑な場合があるため、専門家である行政書士等に相談することをお勧めします。
適切な知識を持ち、準備を進めることで、定住者の皆様が安心して日本で活躍できる環境を提供し、企業の力となってもらうことができるでしょう。
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