【最新版】ベトナム人技能実習生が増える理由について解説

日本で働くベトナム人急増の背景と理由
日本におけるベトナム人労働者の急増
厚生労働省の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によると、2023年時点で日本における外国人労働者数は205万人を超えており、その中でもベトナム人労働者の数が急激に増加しています。
2018年には約31万人だったベトナム人労働者数が、2023年には51万人以上に達し、国別で最も多くなりました。
ベトナム人労働者を在留資格別に見ると、技能実習生が約21万人と全体の41%を占め、次いで留学生を中心とする資格外活動者が13万人、そして技術・人文知識・国際業務などの専門的・技術的分野の在留資格者が約16万人(うち技術・人文知識・国際業務が8万5千人)となっています。
ベトナム人労働者の増加背景
日本におけるベトナム人労働者が急増している背景には、ベトナム国内の経済事情や政府の政策、日本の労働市場のニーズが影響しています。
ベトナムでは海外で働く労働者からの送金が経済の一部を支えており、政府も積極的に労働者の海外派遣を奨励しています。
加えて、多くの日系企業がベトナムに進出し、日本との経済的な結びつきが強まる中で、日本での就労を希望するベトナム人が増え続けています。
ここでは、特に「技能実習生」「留学生」「就労ビザ取得者」の3つの観点から、ベトナム人労働者の増加の理由を詳しく解説します。
留学生の増加理由
2008年、日本政府は「留学生30万人計画」を発表し、外国人留学生の受け入れを積極的に推進しました。
その結果、日本語学校や専門学校、大学などの受け入れ体制が整備され、ベトナム人を含む多くの外国人留学生が日本を目指すようになりました。
2019年にはこの計画が達成され、日本の留学生数は31万人以上に達しました。
ベトナム人留学生が日本を選ぶ理由には以下のような要因があります:
- アルバイトが可能:欧米諸国では留学生のアルバイトが制限されているのに対し、日本では「資格外活動許可」を得ることで週28時間、休暇中は最大40時間のアルバイトが可能。
- 学費と生活費の一部をアルバイトで賄える:経済的に厳しいベトナム人留学生にとって、日本でのアルバイトが可能であることは大きな魅力。
- 将来のキャリア形成:多くの日系企業がベトナムに進出しているため、日本での留学経験を活かし、日本企業に就職し、その後ベトナム支社で幹部として働くことを目指す留学生が多い。
就労ビザ取得者(技術・人文知識・国際業務)の増加理由
日本の大学・専門学校を卒業したベトナム人留学生が、日本企業に就職し、就労ビザを取得するケースが増えています。
特に、IT分野やエンジニアリング分野では日本国内の人材不足が深刻であり、ベトナム人技術者の需要が高まっています。
また、近年では日本での留学経験がなくても、ベトナムで直接採用され、就労ビザを取得して日本で働くケースも増加傾向にあります。
具体的には以下のような形での採用が増えています:
- 日本企業がベトナム現地法人で採用した後、日本本社へ転勤させる。
- 日本企業が技術力のあるベトナム人を直接採用し、日本へ呼び寄せる。
- 技能実習生のマネージャーとして、日本語能力と実務スキルを兼ね備えた人材を受け入れる。
これに加えて、2020年以降、日本政府は特定技能制度を導入し、建設・介護・飲食など14業種で一定の技能試験をクリアした外国人の受け入れを推進しています。
この制度により、専門技術を持つベトナム人が日本で長期的に働ける環境が整いつつあります。
技能実習生の増加理由
日本は慢性的な人手不足に悩まされており、特に建設業、製造業、介護業などの分野では、外国人労働者の受け入れが不可欠となっています。
1993年に創設された「外国人技能実習制度」は2017年に改正され、新たに介護分野が追加されるなど、制度の拡充が進められました。
主な変更点は以下の通りです:
- 優良な監理団体・実習実施者に対する実習期間の延長(最長3年→5年)
- 受け入れ可能な技能実習生の枠の拡大
従来、中国人技能実習生が大多数を占めていましたが、中国の経済発展に伴い日本での就労を希望する人数が減少。
その結果、日本企業は新たな労働力としてベトナム人技能実習生の受け入れを強化しました。
また、ベトナム政府も日本での技能実習を奨励し、技能実習制度を活用して日本で働くことを希望する若者が増えています。
技能実習生として働くことで、日本での技術や経験を積み、その後帰国後に就職する際に有利になるため、多くのベトナム人にとって魅力的な選択肢となっています。
ベトナム人が日本で働く理由
ベトナムは親日国
ベトナムはバイクが「国民の足」として広く利用されているバイク社会ですが、その大半を占めるのが日本製のバイクです。
特にホーチミンをはじめとする南部地域では、バイクそのものを「xe Honda(ホンダのバイク)」と呼ぶほど、日本製品が浸透しています。
さらに、日本製の家電や化粧品は品質の高さで定評があり、多くのベトナム人に信頼されています。
そのため、日本はベトナム人にとって親しみを感じる存在となっています。
また、日本政府はベトナムに対し、ODA(政府開発援助)をはじめとする多くの国際支援を行ってきました。
このような援助活動は、ベトナム人に「日本は助けてくれる国」という印象を強く植え付ける要因となっています。
加えて、日本の漫画やアニメ文化はベトナム国内でも大きな人気を博しており、これもまた日本に対する好感度を高める一因となっています。
生活環境の良さ
日本は社会保障制度や企業の福利厚生が充実しており、労働環境・生活環境ともにベトナムと比べて優れています。
このような充実した環境は、日本で働くことの魅力の一つとなっています。
例えば、日本では企業が従業員に健康保険を提供することが一般的ですが、ベトナムではそうした福利厚生が必ずしも保証されているわけではありません。
また、日本には出産時の政府支援制度が整っており、子育て環境も優れています。
一方、ベトナムには同様の支援制度が存在せず、特に女性にとっては日本の子育て環境の良さが大きな魅力となります。
そのため、教育制度や生活環境が整った日本で働き、長期的に生活したいと考えるベトナム人が多いのです。
日本の高度な技術を学びたい
ベトナムは急速に発展している新興国ですが、製造業や関連産業はまだ発展途上の段階です。
現地での原材料や部品の調達率が低く、ベトナムに進出した日系企業の多くは、海外から部品を輸入し国内で組み立てる形をとっています。
近年ではベトナムブランドの自動車やスマートフォンが国内で開発・販売されるようになりましたが、それ以前は国産ブランドの製品がほとんど見られませんでした。
このような状況の中で、多くのベトナムの若者は、日本の高度な技術や専門知識を学びたいと考えています。
特に、製造業やエンジニアリング分野に興味を持つ人々にとって、日本での実務経験は非常に貴重なものとなります。
そのため、日本の技能実習制度や留学制度を利用し、技術を学びたいと願うベトナム人が増えています。
給与の格差
日本の新卒の平均月給は約18万~25万円ですが、ベトナムでは約5万円前後となっています。
この給与格差が、日本で働くことを選ぶ大きな動機となっています。
もちろん、外国語スキルを持っている場合、ベトナム国内でも高い給与を得ることが可能です。
例えば、日本語能力試験(JLPT)のN2レベルを取得していれば、通常よりも5万~10万円ほど高い給与を得ることができます。
しかし、ベトナム国内の給与水準が上がってきていることも事実です。
ベトナムの昇給率は日本と比べて高く、年間5~10%の昇給が一般的です。
特に、ITエンジニアは需要が高く、給与も年々上昇しています。
経験を積んだITエンジニア(5~7年の経験)であれば、ベトナム国内でも月収15万~20万円を得ることが可能です。
このように、全てのベトナム人が海外で働きたいと考えているわけではありません。
特に、一定のスキルや経験を積んだ人々は、ベトナム国内でも高い給与を得ることができるため、必ずしも海外での就労を希望しないケースもあります。
しかし、新卒者やまだ経験の浅い若者にとっては、日本で働くことが大きな給与アップにつながるため、日本行きを希望する人が多いのです。
ベトナム人が日本で仕事を選択する際に注目するポイント
近年、日本で働くベトナム人の数が増加しています。
これは、日本政府の制度や政治的な要因の影響もありますが、最大の理由は日本とベトナムの労働市場の需給バランスが一致していることにあります。
特に、日本の給与水準とベトナムのそれとの格差は大きく、ベトナム人にとって日本での就労は経済的な魅力がある選択肢となっています。
しかし、日本で働くことを決める際、彼らは単に給与だけではなく、さまざまな要素を考慮します。
本稿では、ベトナム人が日本で仕事を選ぶ際に重視するポイントを詳しく解説し、ベトナム人の採用を検討している企業にとって役立つ情報を提供します。
給与・福利厚生の充実度
ベトナム人が日本で働く際に、給与や福利厚生は大きな関心事の一つです。
特に、技能実習生は最低賃金に近い給与で働くケースが多いですが、新卒・既卒の留学生や就労ビザを持つ人材を正社員・契約社員として採用する場合、日本人と同等の給与水準が求められます。
外国人だからといって低賃金で雇おうとすると、優秀な人材を確保することが難しくなります。
また、寮や家賃補助、交通費の支給、日本語学習の手当、研修制度の充実度も、仕事選びの重要なポイントです。
企業がこれらの要素を整えることで、ベトナム人求職者にとって魅力的な職場となるでしょう。
日本語の学習環境が整っているか
日本で働くベトナム人にとって、日本語の習得は非常に重要な要素です。
在日留学生であれば、すでに数年間日本で生活しており、一定の日本語能力を持っているため、日本人社員とも円滑にコミュニケーションを取ることができます。
しかし、ベトナムから直接採用される外国人は、日本語を使用する環境で育っていないため、会話能力が十分に備わっていないことが多いです。
例えば、ベトナムでは日本語能力試験(JLPT)N2レベルまで勉強していても、実際の会話となると緊張して話せないケースが多く見られます。
しかし、日本に来てから日常生活を送ったり、アルバイトをしたりする中で、実際に日本語を使用する環境に身を置くことで、6か月ほどで会話力が向上することが一般的です。
そのため、企業側は外国人採用の際に日本語能力の不足だけを理由に候補者を判断するのではなく、技術力やスキル、態度、やる気、今後の成長性を重視することが重要です。
また、日本語を学ぶ環境を提供することも大切です。
例えば、日本語クラスを社内で開講したり、オンライン学習の支援を行ったりすることで、外国人社員の日本語力向上をサポートできます。
丁寧な指導とサポートがあるか
日本で働くことは、多くのベトナム人にとって初めての海外就労経験となる場合が多く、職場環境に対する不安を抱えています。
日本企業の高い要求水準に適応するのは容易ではなく、言葉の壁や文化の違いも大きな課題となります。
そのため、企業側が即戦力を求めるだけでなく、丁寧な指導やサポートを提供することで、外国人でも安心して働ける職場環境を作ることが重要です。
例えば、新入社員研修の充実、仕事の進め方の明確化、メンター制度の導入などが効果的です。
また、ベトナム人は家族を非常に大切にする文化を持っており、家族のように接してくれる職場には忠誠心を持ち、期待に応えようと努力する傾向があります。
企業側が積極的にコミュニケーションを図り、例えば、食事会や誕生日のお祝い、社員旅行などのイベントを開催することで、職場の雰囲気を良くすることができます。
明確なキャリアプラン・昇進プランがあるか
ベトナム人労働者の多くは向上心が高く、特に技術職においては新しい技術や仕事に挑戦したいという意欲が強いです。
単純作業を嫌い、より高度なスキルを身につけたいと考える人が多いため、企業側が明確なキャリアプランや昇進プランを示すことで、彼らのモチベーションを高めることができます。
また、会社のビジョンや将来の展望、期待される役割やポジションを明確に伝えることも重要です。
例えば、「このスキルを習得すれば昇進のチャンスがある」「将来的にはリーダーとして活躍してほしい」といった具体的なキャリアパスを提示することで、彼らの努力を引き出すことができます。
まとめ
日本で働くベトナム人の数が増加している背景には、経済的な要因だけでなく、日本への憧れや親近感、そしてより豊かな生活を求める気持ちが影響しています。
しかし、彼らが日本で安心して働くためには、給与や福利厚生の充実だけでなく、言語のサポートやキャリア形成の支援、職場環境の整備が不可欠です。
特に、企業全体が外国人社員を受け入れる姿勢を持ち、チームの一員として温かく迎え入れることが、ベトナム人労働者の定着に繋がります。
日本で働く外国人が安心して活躍できる環境を整えることが、企業にとっても長期的な成功をもたらす重要な要素となるでしょう。
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