企業必見!外国人の最低賃金ガイド|日本人と同等以上の報酬とは?

外国人雇用の拡大に伴い、企業の人事担当者様から「外国人の最低賃金は日本人と同じで良いのか?」「在留資格によってルールは変わるのか?」といったお問い合わせが増えています。

結論から申し上げますと、日本で働くすべての外国人に「最低賃金法」が適用されます。

国籍や在留資格、雇用形態に関わらず、最低賃金を下回る賃金設定は法律違反となり、厳しい罰則の対象となります。

本記事では、外国人雇用における最低賃金の基本ルールから、計算時の注意点、在留資格別の報酬要件、さらには2026年から始まる新制度への対応まで、専門的な視点で徹底解説します。

外国人雇用における最低賃金の基本原則

外国人労働者を雇用する際、まず理解すべきなのは「日本の労働法規はすべての労働者に平等に適用される」という点です。

外国人も日本人と同等の最低賃金が適用される

外国人雇用の最低賃金

最低賃金法は、日本国内で働くすべての労働者に適用されます。

これには、正社員だけでなく、契約社員、パート・アルバイト、そして技能実習生や特定技能外国人も含まれます。

よくある誤解として「母国の物価が低いから、賃金も低く設定して良い」という考えがありますが、これは明白な法律違反です。

雇用主は、その事業所が所在する都道府県の最低賃金、あるいは特定の産業に設定された最低賃金を必ず遵守しなければなりません。

最低賃金法を遵守しない場合のリスク

最低賃金違反のリスク

最低賃金額を下回る賃金で労働させた場合、たとえ労働者本人と合意の上で契約を交わしていたとしても、その合意は法律上無効となります。

不足分を遡って支払う義務が生じるだけでなく、50万円以下の罰金(最低賃金法第40条)が科せられる可能性があります。

さらに、外国人雇用の文脈では、不適切な賃金支払いは「不法就労助長罪」への関与を疑われる要因となったり、次回の在留資格更新に悪影響を及ぼしたりするリスクもあります。

最低賃金の2つの種類と確認方法

最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類が存在します。

企業は、どちらが高いかを確認し、高い方の金額以上の賃金を支払う必要があります。

地域別最低賃金

都道府県ごとに定められている最低賃金です。

産業や職種に関係なく、その都道府県内のすべての労働者に適用されます。

毎年10月頃に改定されるのが通例であるため、秋口には必ず最新の金額をチェックする必要があります。

参考:厚生労働省 地域別最低賃金全国一覧

特定(産業別)最低賃金

特定の産業(例:自動車製造業、鉄鋼業など)において、地域別最低賃金よりも高い賃金を支払う必要がある場合に設定されます。

専門的な技能を要する現場で外国人を雇用する場合、こちらの金額が適用されないか注意深く確認しましょう。

外国人の給与計算における注意点と除外される手当

最低賃金のチェックを行う際、総支給額が最低賃金を上回っていれば良いわけではありません。

「最低賃金の対象となる賃金」と「除外される賃金」を正確に区別する必要があります。

最低賃金に含まれない手当

最低賃金対象外手当

出典:厚生労働省 対象となる賃金は?

以下の手当は、最低賃金の計算から除外しなければなりません。

  • 精皆勤手当
  • 通勤手当(交通費)
  • 家族手当
  • 時間外労働、休日労働、深夜労働の割増賃金(残業代など)
  • 賞与(ボーナス)や結婚祝金などの臨時賃金

特に外国人雇用において、「寮費」を給与から天引きしている場合は注意が必要です。

天引き後の金額ではなく、天引き前の「基本給+対象手当」が最低賃金を上回っている必要があります。

賃金形態別の計算方法

最低賃金は「時給」で設定されています。月給制や日給制の場合は、以下の方法で時給に換算して比較します。

賃金形態 計算式
時給制 そのまま最低賃金額と比較
日給制 日給 ÷ 1日の所定労働時間
月給制 月給(対象手当のみ) ÷ 1ヶ月平均所定労働時間

在留資格別の注意点(技能実習・特定技能・留学生)

在留資格別の報酬要件

在留資格によっては、最低賃金法とは別に「日本人と同等以上の報酬」を求める独自の要件が存在します。

技能実習生と最低賃金

過去、技能実習生への過少支払いが社会問題となりました。現在では、実習実施者(企業)は必ず最低賃金以上の支払いを証明する書類を提出しなければなりません。

また、残業代の未払いなどは、実習計画の取り消しや今後の受け入れ停止といった重い行政処分に直結します。

特定技能外国人の「日本人と同等以上」の要件

「特定技能」の在留資格では、最低賃金をクリアしていることはもちろん、「同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬額であること」が厳格に求められます。

もし、同等の業務を行う日本人が時給1,200円で働いている場合、最低賃金が1,000円だったとしても、特定技能外国人には1,200円以上を支払わなければなりません。

これは、安価な労働力としての活用を防ぎ、適切なキャリア形成をサポートするためです。

留学生のアルバイトと週28時間の制限

留学生が「資格外活動許可」を得てアルバイトをする場合も、当然最低賃金が適用されます。

ここで企業が注意すべきは、オーバーワーク(週28時間超過)です。

賃金を低く設定して長時間働かせるような行為は、留学生本人の在留資格更新を不可能にするだけでなく、企業側も「不法就労助长罪」に问われる深刻な事态を招きます。

2026年以降の在留管理制度の変更と雇用管理のDX

特定在留カード

2026年6月14日から、在留管理制度が大きく変わります。

従来の「在留カード」と「マイナンバーカード」が一体化した「特定在留カード」の運用が開始されます。

特定在留カードの登場と雇用管理の重要性

特定在留カードの導入により、入管手続きとマイナンバー管理の「ワンストップ化」が進みます。

これは企業にとっても、外国人従業員の本人確認や情報管理がよりデジタル化・効率化されることを意味します。

しかし、カードの表面には就労制限の有無などの重要な情報が記載される予定であり、採用時には引き続き厳格な確認が求められます。

参考記事:在留カードが変わる?2026年6月開始、在留カードとマイナンバーカードが一体化!

デジタル化による賃金管理の適正化

マイナンバーとの連携が強化されることで、将来的に賃金支払いの透明性はさらに高まると予想されます。

適正な最低賃金の支払いは、もはや「努力義務」ではなく、システム上で厳格に紐付けられるリスク管理の要となります。

6. 不法就労助長罪を避けるための適正な賃金管理

外国人を採用する際、企業が最も恐れるべきは「知らず知らずのうちに不法就労に関わってしまうこと」です。

在留カードの確認ポイント

採用時には、必ず在留カード(または2026年以降は特定在留カード)の現物を確認してください。

  • 表面: 在留期間が満了していないか、就労制限はないか。
  • 裏面: 資格外活動許可のスタンプがあるか(留学生などの場合)。

参考記事:外国人雇用で必須!在留カードの確認ポイントと更新手続き完全ガイド

労働条件通知書の交付

労働条件通知書

「留学」から「就労」へ在留資格を変更する場合など、新たな雇用契約を結ぶ際には、必ず「労働条件通知書」または「雇用契約書」を交付し、賃金体系を明確に提示してください。

これにより、最低賃金割れや不当な天引きといったトラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ:適正な賃金設定が「選ばれる企業」への第一歩

少子高齢化が進む日本において、外国人材は貴重な戦力です。最低賃金を遵守し、日本人と同等以上の適切な処遇を提供することは、単なるコンプライアンスの遵守に留まりません。

それは、外国人労働者からの信頼を獲得し、長期的な定着や生産性の向上、そして企業のブランドイメージ向上につながる「投資」でもあります。

2026年の新制度導入を控え、雇用管理のあり方も変化を求められています。制度の複雑さに不安を感じる場合は、専門の紹介会社やアドバイザーの力を借りることも有効な手段です。

 

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