外国人社員の在留カード紛失・再発行手続き完全ガイド|期限や必要書類も解説

はじめに:外国人社員から「在留カードをなくしました」と相談されたら?

外国人材の採用が一般的になる中、多くの企業で人事担当者や管理職の方が、これまで経験したことのない事態に直面する機会が増えています。

その代表的な例が、外国人社員からの「在留カードを紛失してしまいました…」という緊急の相談です。

在留カードは、日本に中長期間滞在する外国人にとって重要な身分証明書です。

「警察に職務質問されたらどうしよう?」「このまま働けなくなるの?」「不法滞在者だと思われない?」

このような不安を抱えた社員を前に、企業担当者として冷静かつ的確なサポートができるかどうかは、信頼関係の構築と人材定着において非常に重要です。

本記事では、外国人雇用の担当者が知っておくべき「在留カード紛失時の対応」について、再発行手続きの流れから企業の注意点まで、網羅的かつ分かりやすく解説します。

このガイドを読めば、万が一の事態にも落ち着いて対応できるようになります。

1. なぜ一大事?在留カードの重要性と法的義務

まず、なぜ在留カードの紛失が「一大事」なのか、その法的な重要性を正確に理解しておく必要があります。

在留カードとは?

在留カードは、日本に3ヶ月を超えて滞在する中長期在留者に対して交付される、顔写真付きのICカードです。

氏名、国籍、生年月日などの基本情報に加え、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載されており、「適法に日本に在留していること」を証明する公的な身分証明書です。

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法律で定められた「常時携帯義務」

出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)では、16歳以上の外国人は常に在留カードを携帯する義務があると定められています。

これは永住者であっても例外ではありません。

警察官や入国審査官から提示を求められた際に携帯していない場合、20万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

パスポートでは代わりになりません。

さらに、提示要求に応じなかった場合は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金という、さらに重い罰則が科される可能性もあります。

これらの処分は記録に残り、将来の在留資格更新(ビザ更新)の審査において、不利に働く可能性も否定できません。

出典:出入国管理庁:Q&A在留管理制度よくある質問

2. 紛失発覚後の初動対応フロー

社員から紛失の報告を受けたら、まずは本人を落ち着かせ、迅速に行動するよう促すことが重要です。

対応が遅れると、第三者による悪用のリスクが高まるだけでなく、後述する法的な義務違反にもつながります。

対応の基本方針は「①警察への届出」と「②入管への申請」の2ステップです。

ステップ1:最寄りの警察署・交番で「遺失届」を提出

まず、盗難・紛失に気づいたら、直ちに最寄りの警察署や交番へ行き、「遺失届(盗難の場合は盗難届)」を提出するよう指示してください。

この届出は、第三者による悪用を防ぐだけでなく、後ほど入管で再発行手続きを行う際に「紛失したことを証明する公的な書類」として必要になります。

届出をすると、受理番号が記載された証明書(遺失届出証明書など)が発行されるので、必ず保管しておくよう伝えましょう。

ステップ2:14日以内に管轄の入管で「再交付申請」

東京出入国管理局

警察への届出が済んだら、次に入管での手続きです。

入管法では、在留カードを紛失・盗難・滅失等で失った場合、その事実を知った日から14日以内に、住居地を管轄する出入国在留管理局(以下、入管)で再交付の申請を行わなければならないと定められています。

この14日という期間は厳守する必要があります。

正当な理由なくこの期間内に申請を怠った場合、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

紛失自体に罰則はありませんが、再交付申請の遅延には重い罰則があることを覚えておきましょう。

3. 在留カード再発行手続きの具体的な方法

ここでは、入管で行う再交付申請の具体的な流れと必要書類について詳しく解説します。

どこで申請する?

申請場所は、申請者本人が住んでいる地域を管轄する入管です。

例えば、東京都に住んでいる場合は東京出入国在留管理局、大阪府に住んでいる場合は大阪出入国在留管理局となります。

再交付申請に必要な書類一覧

申請には、原則として以下の書類が必要です。事前に準備しておくよう、社員にリストを渡してあげると親切です。

  • 在留カード再交付申請書
    • 出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロードできます。記入例もあるため、事前に確認しておくとスムーズです。
  • 顔写真1葉
    • 縦4cm×横3cm。
    • 申請前3ヶ月以内に撮影された、無帽・無背景で鮮明なもの。
  • 在留カードを失ったことを証明する資料
    • 警察で発行された遺失届出証明書盗難届出証明書など。
  • パスポート(旅券)
    • 原本の提示が必要です。万が一パスポートも紛失している場合は、その理由を記した「理由書」を提出します。
  • (該当する場合)資格外活動許可書
    • もし所持していれば、こちらも提示が必要です。

申請は本人以外でも可能?

申請は本人が直接入管に出向くのが原則ですが、以下のような代理人による申請も認められています。

  • 申請取次の承認を受けている企業の担当者
  • 弁護士・行政書士
  • 本人の法定代理人
  • 本人が16歳未満または病気等の理由で出向けない場合に、同居する16歳以上の親族

企業として日常的に外国人社員の在留資格手続きを行っている場合は、「申請取次」の承認を得ておくことで、こうした緊急時のサポートもスムーズに行えます。

よくある質問(時間・費用)

Q. 再発行にはどのくらい時間がかかりますか?

A. 書類に不備がなければ、原則として即日交付されます。

ただし、3月〜4月などの繁忙期は入管が大変混み合うため、半日以上かかることも想定し、時間に余裕を持って行くようにアドバイスしましょう。

受付時間は通常9時〜16時ですが、昼休み(12時〜13時)は受付を停止する庁舎もあるため、事前に管轄入管のウェブサイトで確認が必要です。

Q. 再発行に手数料はかかりますか?

A. 紛失、盗難、滅失など、本人の意思によらない理由での再交付の場合、手数料はかかりません

著しい汚損や毀損が理由の場合も無料です。

ただし、これら以外の理由でカードの交換を希望する場合(例:名前の漢字表記を変更したいなど)は、1,600円の手数料が必要です。

4. 【要注意ケース】海外で在留カードを紛失した場合の対応

最も慌ててしまうのが、海外出張中や一時帰国中に在留カードを紛失するケースです。

しかし、この場合も手順を理解していれば、冷静に対応できます。

基本的な流れ

  1. 現地の警察に紛失届を提出
    • まずは滞在国の警察署で紛失・盗難の届出を行い、その証明書を受け取ります。これは日本帰国後の再交付申請で必要になります。
  2. 日本へ再入国
    • 「みなし再入国許可」を含む有効な再入国許可で出国している場合、在留カードがなくてもパスポートだけで日本へ再入国することが可能です。在外公館(大使館や領事館)では在留カードの再発行はできません。
  3. 再入国後14日以内に再交付申請
    • 日本に入国した日から14日以内に、住居地を管轄する入管で再交付申請を行います。その際、現地の警察で受け取った紛失証明書を提出します。

航空会社に搭乗を拒否されるリスクと対策

在留カードがない状態で日本へ戻る際、航空会社のカウンターで搭乗を拒否されるケースが稀にあります。

これは、航空会社が乗客の日本の入国資格を確認できないために起こるトラブルです。

このような事態を防ぐため、以下の手続きを検討できます。

  1. 「再入国許可期限証明願」の取得
    • 日本にいる代理人(会社の同僚、家族など)に、本人の住居地を管轄する入管で「再入国許可期限証明願」という書類を取得してもらいます。
  2. 海外へ郵送
    • 取得した証明書を、国際郵便などで海外にいる本人へ送付します。
  3. 搭乗時に提示
    • 本人は、航空会社のカウンターでパスポートと共にこの証明書を提示することで、日本への再入国許可が有効であることを証明でき、スムーズに搭乗手続きができます。

海外への渡航前には、社員に対して「万が一紛失した場合は、まず現地の警察に届け出て、すぐに会社に連絡すること」を周知しておくと良いでしょう。

5. 人事担当者のための重要注意点:企業が「やってはいけないこと」

外国人社員をサポートする上で、企業側が良かれと思ってやった行為が、重大な法律違反になる可能性があります。以下の点は必ず守ってください。

企業の在留カード・パスポートの預かりは厳禁

いかなる理由があっても、企業が従業員の在留カードやパスポートを預かることは法律で禁止されています。

これは、従業員本人から「失くすと怖いので、会社で保管してください」と頼まれた場合でも同様です。

在留カードには常時携帯義務があり、本人から取り上げることはもちろん、本人の依頼であっても預かる行為は認められません。

過去には、技能実習生のパスポートや在留カードを取り上げたとして、企業が出入国在留管理庁から不正行為として摘発された事例もあります。

これは従業員の移動の自由を奪う重大な人権侵害と見なされる可能性があり、企業の信用を著しく損なう行為です。

紛失期間中の就労と本人確認

在留カードの再交付手続き中であっても、その社員の在留資格がなくなったわけではないため、就労を続けることに問題はありません。

ただし、この期間中は在留カードを携帯できていない状態です。

職務質問などに備え、「パスポート」と「警察の遺失届出証明書の控え」を携帯するようアドバイスしてください。

これにより、在留カードを紛失し、現在再交付申請中であることを客観的に説明できます。

再交付が完了したら、企業として必ず新しい在留カードを提示してもらい、在留資格や期間などに変更がないかを確認しましょう。

これは、不法就労助長罪のリスクを回避し、雇用コンプライアンスを遵守する上で不可欠な業務です。

まとめ:正しい知識が、社員の安心と企業の信頼を守る

外国人社員による在留カードの紛失は、いつ起こっても不思議ではないトラブルです。

しかし、その重要性と正しい手続きの流れを企業担当者が理解していれば、決して慌てる必要はありません。

【紛失時の対応ポイント】

  1. 迅速に行動:紛失を知った日から14日以内に再交付申請が必須。
  2. 正しい手順①警察へ遺失届 → ②入管で再交付申請の順番を守る。
  3. 書類の準備:必要書類リストを渡し、不備なく申請できるようサポートする。
  4. 企業の役割:適切なアドバイスは行うが、カードの預かりは絶対にしない
  5. 事前の周知:入社時研修などで、在留カードの重要性と紛失時の連絡体制を伝えておく。

こうした的確なサポートは、不安を抱える外国人社員に大きな安心感を与え、企業へのエンゲージメントを高めることにも繋がります。

手続き上のトラブルを恐れて外国人材の活用をためらうのではなく、正しい知識を身につけ、不測の事態にも対応できる体制を整えることが、これからのグローバルな人材戦略において重要と言えるでしょう。

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